農業研究本部

強粘質水田土壌の物理・化学的特性と生産力向上に関する研究
3.水管理法の改善が水稲の収量性に及ばす影響

前田 要、南 松雄

北海道立農試集報.40,19-29 (1978)

 強粘質で透水不良なグライ低地土とグライ台地土で排水法と水管理法の相違が水稲 の生育・収量・品質などに及ぼす影響を透水良好な褐色低地土と対比して検討した。  透水不良なグライ低地土とグライ台地土では籾殻心土破砕と籾殻暗渠の施行によっ て水稲の初期生育並びに登熟性が向上し、玄米収量も従来の土管暗渠を上回った。  つぎに、登熟期における水管理技術としての落水時期の早晩と収量性の関係では、 両土壌とも出穂期落水>出穂7日後落水>出穂14日後落水の順に落水時期が早いほど 登熟歩合が高く、玄米重が増加した。また、中干しも出穂期落水に匹敵する効果を示 した。  一方、透水良好な褐色低地土では収量・品質的にみて出穂21日後の落水が最もまさ り、早期落水及び中干しでは登熟・品質面で劣った。また、湛水期間中の中干し強度 は水稲の水分代謝並びに落水後の地耐力増強の面よりみてpF2.0前後に保つのが理想 的である。  なお、登熟過程で水稲籾の正常な発育を充たす土壌水分の下限はグライ低地土で pF2.3、褐色低地土でpF2.1前後であることが推察された。


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