農業研究本部

牧草の周年栄養生理と肥培管理に関する研究
第2報 秋施肥の持つ意義

坂本 宜崇、奥村 純一

北海道立農試集報.40,40-50 (1978)

 オーチャードグラス草地において、秋施肥の効果を従来の草地管理の基本である早 春施肥と関連させながら検討した。すなわち、晩秋の最終刈取りを危険帯前に刈り終 え、直ちに秋施肥処理し、これに早春施肥処理を組合せた。  この結果、越冬前までに秋施肥用量に比例して新分げつが発生し、同時に養分貯蔵 部位である株部のN濃度も上昇したが、炭水化物濃度は僅かしか低下しなかった。  翌春の萌芽再生期から栄養生長期の生育は秋施肥用量に支配され、早春施肥の効果 は殆んど認められなかった。  節間伸長期に至ると秋施肥は枯渇し、代わって早春施肥が生育を律速した。穂揃期 の収量は節間伸長を経た有穂茎がその大部分を占めるが、秋施肥によって有穂茎数が 増加し、早春施肥により一茎重が高まった。  以上のことから、秋施肥と早春施肥とか1番草生育に与える影響は他の1年生作物 裁培における基肥と追肥との関係に相当しよう。


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