農業研究本部

ジャガイモから分離されたRhizoctonia solani Kuhnの菌糸融合群

阿部 秀夫、坪木 和男

北海道立農試集報.40,61-70 (1978)

 北海道各地から採集した黒あざ病罹病ジャガイモから273菌株のRhizoctonia solaniを分離した。これらの分離菌株は菌糸融合群の第1群、第2群第2型、第3群お よび第5群に類別され、その割合はそれぞれ0.7、0.4、96および3%であった。  第3群は、ジャガイモの各部位の病斑、菌核および茎の担子胞子から常に分離され た。第5群は生育後期の茎の病斑および塊茎の菌核の一部から分離された。ジャガイ モに対する病原性は第2群第2型、第3群および第5群の菌株に認められた。特に、 第3群は本植物に対する病原性が他の菌群より強く、また、新生塊茎上にも多数の核 を形成した。第3群による塊茎上の菌核は、生育中に茎およびふく枝が発病した株に 形成されたが、第5群による菌核は、生育中の発病の有無とは関係なく形成された。  以上のことから道内における本病の発生は第3群によるものが主体であり、条件に よっては第2群第2型および第5群も一部関与しているものと考えられる。


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