大豆の裂莢性に関する育種学的研究
III.F1およびF2世代における裂莢率
土屋 武彦、砂田 喜与志
北海道立農試集報.41,1-9 (1979)
大豆の裂莢性に関する選抜上の知見を得ることを目的として,北海道の栽培品種と裂莢難の導入品種の交雑後代F110組合せとF25組合せについて,裂莢性を検討した。試験は1975年から1977年までの3年間北海道立十勝農業試験場で行い,裂莢性の検定は熱風乾燥処理法によった。 その結果,F1の裂莢率から裂莢感受性は難裂莢性に対して不完全優性を示すことが認められた。また,F2と両親の分散より求めた裂莢率の広義の遺伝カは,88%(5組合せ平均)で子実重の51%より大きく,開花期,成熟期,主茎長の推定値に近かった。したがって,裂莢性の選抜は比較的初期世代から可能であると推察される。なお,裂莢率と成熱期の間には正の,裂莢率と伸育率の間には負の有意な相関が認められた。また,裂莢率と子実重,裂莢率と粒大との相関は組合せによっ異なり一定でなかったが,多くの場合裂莢難で多収個体の選抜にきつい制限はないものと推察された。
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