農業研究本部

根釧地方の草地に対する窒素質肥料の施用法に関する研究
2.早春のチモシーの養分吸収・生育に及ぽすアンモニア態窒素および硝酸態窒素の影響

袴田 共之、平島 利昭

北海道立農試集報.41,47-56 (1979)

 人工気象箱による8日間の水耕実験を行った結果萌芽後のチモシーの窒素吸収量、 地上部のりん酸、マグネシウムの各含有率は硝酸態窒素(NO3-N)培養液で高く、地 上部窒素含有率はpH3では窒素形態に関係なく低く、pH7では培養液中NO3-N比率 が増すほど高く、pH5では中間の傾向であった。  根部のカルシウム、マグネシウム、地上部のカリウムの各含有率は、NO3-N培養液 ではその窒素濃度が高い程上昇し、アンモニア態窒素(NH4-N)培養液では逆に低下し た。  NH4-N培養液によるチモシーには枯葉が多く、根部は短く灰褐色を呈し分枝根や根 毛か少なかった。  地上部および根部の風乾物重は、NO3-N単独またはNO3-NとNH4-Nの共存の場合の方 が、NH4-N単独より勝った。  以上のことから、培養液中のNH4-Nがチモシーの根に傷害を与え養分吸収・生育を 抑制するため、地上部の生育も停滞するが、培養液中にNO3-Nが含まれるとそれらの 抑制は軽減されると考えられる。


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