農業研究本部

道央地帯の水田土壌における塩基、重金属の分布と水稲成分含有率の関係

鎌田 賢一、水野 直治

北海道立農試集報.43,52-62 (1980)

 北海道上川地域は熔結凝灰岩等を母材とした塩基飽和度50%以下の土壌が多いが、空知地域は比較的塩基に富んだ土壌や蛇紋岩母材の土壌が多い。  これら土壌の母材や堆積物の影響を受けて上川地域はCa、空知地域はMgの水稲体含有率が高い傾向を示した。  水稲体のCa、Mg含有率と土壌のそれぞれの相対飽和度(Ca、Mg飽和度/全塩基飽和度)との間に正の相関があった。Kは土壌含量よりも水稲体含有率の差が小さく、従って水稲体含有率は土壌間差を反映しなかった。Mnは透水性の良い土壌ほど、土壌及び水稲体の含量が低い。土壌のFe含量はMnとほぼ同様の傾向にあった。  土壌のZn、Cu、Co、Niなど重金属元素の含量はNi以外は土壌間差がなく、水稲体含有率も大差ない。土壌のP2O5含量は相対的に富化の傾向にあったが、水稲体含有率との間に一定の傾向はなかった。水稲体Si02含有率は土壌の可給態含量との間に正の相関があったが、府県よりもやや低い値を示した。


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