農業研究本部

強粘質水田土壌の物理・化学的特性と生産力向上に関する研究
4 排水性の向上が水稲の初期生育に及ぽす影響

前田 要、南 松雄

北海道立農試集報.44,1-11 (1980)

 強粘質で透水性不良なグライ低地土において乾田化と湛水後の土壌環境の変化および水稲の初期生育との関係について、透水性良好な褐色低地土と対比して検討した。  グライ低地土は褐色低地土に比べると水稲の初期生育が明らかに劣り、とくにその傾向は稲わらなど未分解な粗大有機物を施用した場合に一層顕著であった。  初期生育不良なグライ低地土では、生育前半の水田地温が褐色低地土より低く椎移し、しかも層位間の地温較差の大きい特徴がみられた。  また、植代後の作土層l0㎝内に残存する粗大有機物量は褐色低地土に比ペグライ低地土の方がはるかに多く、かつ移植時の土壌還元状態も後者で著しかった。  しかし、グライ低地土の場合でも籾暗渠などの施工によって水田表層土の乾燥化か促進されれば湛水後の土壌還元化が著しく緩和され、稲わら施用の場合の水稲の初期生育量は乾田的性格をもつ褐色低地土同様にむしろ無施用を廻る傾向さえみられた。


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