農業研究本部

二酸化硫黄接触による農作物の可視被害

市川 信雄、長谷部 俊雄、高尾 欽弥、山上 良明

北海道立農試集報.44,90-102 (1980)

 46種類の作物を供試しビニールハウス内で0.3~0.9ppmの二酸化硫黄を接触させ可視被害の発現状態を検討した。  その結果、可視被害は葉部、とくに中~下位葉に発現し特有の煙斑症状を示したのに対し、茎部、花部、莢、子実、果実には認められなかった。  その発現症状は英肉細胞が破壊され、灰緑~灰白色、灰褐色、黒褐色、褐色などの煙斑を生ずる急性害と葉身全体や葉脈間の一部が黄化する慢性害に大別でき、多くは急性害であった。  煙斑は0.3ppmの二酸化硫黄接触では発現しない作物も相当数あったが、0.7~0.9ppm接触ではほとんどの作物に発現した。そこで煙斑発現までの接触時間の長短をもとに供試作物の二酸化硫黄に対する相対的感受性の程度を三群に、区分した。  一方、ガス接触によって作物体内の硫黄含有率は高まりとくに煙斑が発現した葉部の上昇が顕著であり、これが煙斑発現の主因と考えられた。


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