農業研究本部

機械移植による稚苗水稲の生理生態的特性について

藤原 耕治、南 松雄、古山 芳広

北海道立農試集報.44,62-71 (1980)

 稚苗移植水稲の生理生態的特性を慣行の成苗水稲と比較検討した結果、稚苗水稲の幼形期および出穂期は成苗水稲に比して2~5日遅れたが、最高分けつ期は逆に7~10日早まった。  収量構成要素のうち、穂数は多いが、1穂籾数が少ないため総籾数は劣る場合が多く、もみ/わら比も小さかった。  登熟歩合は比較的高いが、千粒重がやや小さく、玄米収量は同一施肥水準では成苗水稲並みかやや劣った。  稚苗水稲の幼形期までの茎数増加量、乾物生産量ならびに窒素吸収量は成苗水稲に比してはるかに多い反面、幼形期から止葉期にかけての乾物生産量および窒素吸収量が少なく、このことが1穂籾数の減少と有効茎歩合の低下の要因になっているものと推察された。  登熟期の受光態勢は比較的良好であるが稈が細く耐倒状性は弱く、また根は表層に多く分布し、下層への伸長は劣った。


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