農業研究本部

水稲品種系統ならびに雑種集団におけるアミロース含有率の変異と選抜上の知見

佐々木 忠雄、新井 利直、稲津 脩

北海道立農試集報.44,72-78 (1980)

 精白米中のアミロース含有率の測定は、テクニコン社製オートアナライザーを用いた。栽培条件を異にする奨励品種基本調査では、品種系統間の差異が顕著で、栽培条件に左右されなかった。  北陸農試産の100品種系統は広い変異性を有し、古川農試産の100品種系統よりはるかに低アミロース系統が多かった。F4個体とF5系統、F4系統とF5派生系統およびF5系統とF6派生系統の親子相関によるアミロース含有率の遺伝力は、それぞれ46、70、72%と推定された。  このため個体選抜より系統選抜が一層有効と判断された。しかし、育成地において低アミロースの「コシヒカリ」や「北陸100号」を用いた5交雑集団の後代の個体選抜では、集団間の差は認められたが期待された低アミロース個体はえられなかった。  この原因について論議し、ごく最近作出されたいくつかの低アミロース突然変異体の利用をはかるべきことが暗示された。


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