農業研究本部

十勝地方火山性土における有機物の利用に関する研究
1.作物収穫残さの施用、分解に伴う土壌の無機態窒素の消長

松代 平治、佐藤 辰四郎

北海道立農試集報.45,7-16 (1981)

 十勝地方の火山性土にてん菜頸葉、とうもろこし稈、秋播小麦稈の3種類の作物収穫残さを施用し、その分解に伴う土壌の無機態窒素の消長を炭酸ガス発生量、微生物活性などと関連させて調査し、またたい肥との比較も行った。  その結果、いずれの収穫残さが施用されても、土壌の無機態窒素の有機化が一度起こった後、窒素の無機化、放出に移行した。しかしその過程の進行は収穫残さの炭素率(C/N比)が低いほど早く、かつ無機化量も多かった。  またこれらの残さの分解に伴う炭酸ガス発生量、微生物活性の増大も同じ順に大きい傾向にあった。対照のたい肥(C/N比12)は施用後直ちに窒索の無機化が起こり、その量も多かったが炭酸ガス発生量、微生物活性は収穫残さの施用当初ほどには高まらなかった。  これらの過程は乾性型火山性土、湿性型火山性土の間で若干の差が見られ、また収穫残さの施用された土壌を用い、ポットに栽培したえん麦の生育にもよく反映された。


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