農業研究本部

Gaeumannomyces graminis (Sacc.) Arx & Olivier var. tritici Walkerによるコムギ立枯病の発生

宮島 邦之、坪木 和男

北海道立農試集報.45,38-46 (1981)

 1979年網走管内の連作秋播コムギ畑に白穂症状が目立った。病株の葉鞘は黒変し、子のう殻が多数埋在していた。この子のう胞子由来の培養菌はコムギの根、葉鞘を黒変腐敗させ、同じ子のう殻を形成するので本病害の病原菌とみなした。  病原菌の子のう殻は黒色、球形、埋在し、頸部は斜上方に伸び、子のうは一重壁、先端環(apical ring)があり、束状の8子のう胞子を含む。子のう胞子はやや屈曲し、3.3×74μm。菌糸はほふく、侵入菌糸、菌糸束および単純な菌足(hyphopodia)を生じ、またphialideの先端にphiahdic conidiaとphialosporesを形成する。  これらのことから本病原菌をGaeumannomyces graminis (Sacc.)Arx&Olivier ver. tritici Walkerと同定し、本病はコムギ立枯病(take-all)であることを明らかにした。また本病の発生状況および被害について記した。


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