農業研究本部

北海道におけるニカメイガ属の寄主植物について

八谷 和彦

北海道立農試集報.45,47-52 (1981)

 ニカメイガ属には、ハコネメイガなどニカメイガに極めて近縁な類似種があるが、これらの寄主植物を知るため、野外での寄生状況調査と室内での幼虫飼育を行った。  ヨシの枯茎中より本属の越冬幼虫を採集し、室内で羽化させた結果、ハコネメイガが最も多く、ほかに、ニカメイガ、キタヨシツトガ、ヨシツトガが同定された。  このうちニカメイガは、隣接水田から侵入したものとみられた。マコモから採集した越冬幼虫は、全てニカメイガが羽化した。  一方、水田内のイネの刈り株および刈り藁より採集した本属の越冬幼虫は全てニカメイガであり、他の種は見い出されなかった。  ハコネメイガのふ化幼虫をイネ、ヨシ、ススキの3植物で飼育した結果、食草による生長の差は見い出せなかったが、野外の状況から、ハコネメイガは主にヨシを寄主植物としていると考えられた。また、ニカメイガのふ化幼虫を同じ3植物で飼育したところ発育の最も良好な植物はイネで、ほかの2植物に比べその差は顕著であった。このため、ニカメイガの寄主植物はイネとマコモであり、ヨシとススキは寄主植物とはみなすことができなかった。


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