農業研究本部

小豆における炭水化物の消長と生育との関連

沢口 正利、野村 琥

北海道立農試集報.45,59-69 (1981)

 小豆2品種(茶殻早生、栄小豆)を供試して作物体部位別に炭水化物の消長を検討した結果、糖、でんぷん濃度の高まる時期が部位によって異なり、炭水化物集積部位が葉身、葉柄、茎、莢殻、子実の順に移るものと考えられた。  また、炭水化物の動向を生育と関連づけてみると、7月中旬頃までの生育初期段階は光合成産物が体構成に十分利用されず、葉身中に集積する生育蓄積期であり、その後、開花始までは茎葉中の糖濃度が一時的に低下し、開花以後の生長に備える準備期とみられ、開花以後8月中旬の子実肥大開始頃までは葉柄中の炭水化物が急増し、栄養、生殖両生長に遂次利用される生長拡大期であり、それ以後8月下旬の栄養生長が最大に達するまでの期間は炭水化物の集積部位が茎、莢殻に移り、安定生長期と考えられた。さらに、収穫期までは生殖生長が主体であり、子実への炭水化物の転流、でんぷんとしての蓄積が進み、生殖充実期と考えられた。  一方、両品種の炭水化物動向を比較して、「茶殻早生」ではsourceがsinkを上回る傾向がみられ「栄小豆」では逆の傾向がうかがわれた。


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