農業研究本部

秋播小麦の雪腐病抵抗性と耐凍性育種
I.検定方法の改善と抵抗性品種分類への適用

天野 洋一、尾関 幸男

北海道立農試集報.46,12-21 (1981)

 秋播小麦の冬損に関与する要因のうち,雪腐大粒菌核病,黒色小粒菌核病,褐色小粒菌核病およぴ凍害について検定法の改善を試みた。大粒菌核病には高畦栽培で胞子を散布する方法,小粒菌核病には病原菌を接種し,多湿下2℃の恒温室で処理する方法,凍害には冠部凍結法が効果的であった。これらの方法を用い,海外から収集した品種を含め,代表的な25品種を検定したところ,各要因に抵抗性品種が確認されたが,すべてに抵抗性の品種はなかった。耐凍性と大粒菌核病抵抗性,あるいは黒色小粒と褐色小粒菌核病抵抗性との間には,有意に高い正の相関が認められたが,耐凍性と小粒菌核病,あるいは大粒菌核病と小粒菌核病抵抗性との関係は有意でなかった。小粒菌核病に抵抗性の「C.I.14106」,「P.I.172582」,「P.I.173438」は「農林62号」と同様,大粒菌核病に最も弱かった。しかし,道内で育成された10品種系統は,この両病害にかなりの抵抗性を示すことがわかった。


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