農業研究本部

秋播小麦の雪腐病抵抗性と耐凍性育種
II 片側二面交雑によって推定された抵抗性の遺伝的効果

天野 洋一

北海道立農試集報.47,13-22 (1982)

 耐冬性の主要因をなす雪腐病低抗性と耐凍性について,代表的な7品種系統を親として,相互に21通リの交配を行い,そのF2集団を用いて各要因に対する抵抗性を検定し,ダイアレル分析によって遺伝的解析を試み,統計量を推定した。各要因の被害度の平均値と分散は,いずれも組合せ間,親品種間に有意差が認められ,各F2集団は中間親によって左右された。エピステーシス効果のない単純な相加一優性モデルが想定され,各要因とも相加的遺伝子効果が高かった。大粒菌核病と黒色小粒菌核病の抵抗性は劣性遺伝子が支配的とみられたが,耐凍性では一定しなかった。狭義の遺伝カはそれぞれ90,79,82%と高く,有効因子数は2~3と推定された。大粒菌核病と黒色小粒菌核病抵抗性の間には負の遺伝相関が高かったが,両病害に無被害な個体の出現率は道内品種間の交雑集団で高く,北海道における育成品種が,耐冬性についてすぐれた特性を具備していることが明らかになった。


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