農業研究本部

りん酸肥沃度及びりん酸施肥がタマネギの生育・収量に及ぼす影響

相馬 暁、岩渕 晴郎

北海道立農試集報.47,47-56 (1982)

 P蓄積の進行に伴うタマネギの収量水準の推移は三つの領域に大別し得た。1)領域Iは土壌中の有効態 P(Truog-P2O5) 80mg/100g までで,P蓄積量の増加が生育・収量を顕著に高めた。特に,施肥前の Truog‐P2O5 量が50mg以下の新畑においては,P吸収不足による初期生育の抑制が著しく,P増施効果が顕著で,50kg/10a施肥 (P2O5として) が妥当であった。2)領域IIは Truog-P2O580~130mgの範囲で,P蓄積量と収量の関係は判然としないが,収量レベルは最も高い。本領域に対するP施肥適量は25~10kgである。3)領域IIIは Truog-P2O5 130mg 以上の範囲で,P蓄積量の増加が球肥大の抑制と腐敗球の多発を通じ,収量低下をもたらした。本領域に対する施肥量は10kg以下である。以上のところを加味し,収量目標を5t/10aレベルに設定すると, G.I. (Growth Index= 草丈cm×葉数枚)200-250の初期生育を確保し,体内P濃度を 1.0~1.3%に高め,球肥大期のG.l.を600以上獲得する必要があり,そのためには少なくとも,土壌中のTruog-P2O5量を80~100mg/100gまで富化せねばならない。


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