二酸化窒素接触による農作物の可視被害
市川 信雄、山上 良明、長谷部 俊雄、黒川 春一
北海道立農試集報.47,78-87 (1982)
農作物14種類を供試し,自然光型人工気象室内で4~24ppmの二酸化窒素を短時間接触させ,可視被害の発現状態を検討した。その結果,可視被害は各作物とも共通に葉部,とくに中位葉に多発し,他の部位には認められなかった。その発現症状は急性型の可視障害に属し,多くは葉脈間,葉縁,葉先などに不定形の小煙斑となって発現し,最初,灰緑色を呈し,やがて脱水症状を伴って,ネクロシスを起して灰白一暗赤色を示した。接触ガス濃度の高低によって供試作物の煙斑発現の難易に差異を認めたので,これを基準としてNO2に対する相対的感受性を三群に区分したところ,アルファルファ,赤クローバ,小豆,菜豆の4作物が高感受性を示した。ガス接触による葉身の全窒素(T-N)はすべてのガス接触で,また,NO3-N,NO2-Nは高濃度ガス接触でそれぞれ高まる傾向にあった。とくに,高感受性の作物ではNO2-Nの上昇が大きい傾向を示し,感受性と葉中のNO2-N集積との間に密接な関連性がうかがえた。
→ 全文(PDF)