農業研究本部

十勝地方火山性土における有機物の利用に関する研究
3 作物収穫残さ連用土壌からの考察

松代 平治、佐藤 辰四郎

北海道立農試集報.49,12-21 (1983)

 十勝地方の乾性型、湿性型両火山性土に低炭素率(C/N比)のてん莱頸葉、高C/N比の秋播小麦稈、およびそのC/N比を20に調節したものを連用し、その土壌でのえん麦の生育、可給態窒素、微生物相の変化などをたい肥との比較も加えて調し、これらの作物収穫残さ施用効果の土壌間差を検討した。  両土壌とも低C/N比のてん菜頸葉区、対照のたい肥区のえん麦の生育が最も良好であった。  一方、高C/N比の秋播小麦稈C/N比無調節区は、乾性型火山性土でまだ窒素飢餓を示したが、湿性型火山性土でのえん麦の生育は無施用区を若干上回った。しかし小麦稈C/N比20区のえん麦は、乾性型火山性土で無施用区並の生育が得られ、更に湿性型火山性土でたい肥区に近い生育となった。  以上のことは湿性型火山性土の方が、収穫残さの分解に伴う無機態窒素の有機化が盛んで、その無機化も早く、量が多いことを示し、その点は土壌の可給態窒素、微生物相の変化からもよく理解された。


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