農業研究本部

チモシー品種の生育と乾物消化率に及ぼす遮光の影響

古谷 政道、増谷 哲雄、樋口 誠一郎、筒井 佐喜雄

北海道立農試集報.51,1-14 (1984)

 供試品種はクンプウ(極早生),センポク(早生),ノサップ(早生), Erecta R.v.P.(中生),ホクシュウ(晩生)で,各品種4栄養系をポットに移植し,屋外で栽培した。遮光処理は全生育期間中無遮光区,55%遮光区,84%遮光区とした。なお乾物消化率は迅速セルラーゼ法によって測定した。全植物体乾物重は,遮光割合の増加に伴い各品種とも有意に減少するが,減少の程度は品種により異なった。地上部重と地下部重の比較では,遮光の影響は地下部に大きかった。遮光によりSLA,L/S比は増加し,茎数,出葉数は減少するが,その変化は品種により異なり,供試品種の耐陰性はホクシュウが強く,クンプウが弱いと考えられた。乾物重の品種と遮光処理の交互作用は有意性を示し,低日射量下の生育に対する育種的対応が可能と考えられた。乾物消化率は遮光割合の増加に従い有意に減少したが,生育不良な84%遮光区の2番草の乾物消化率は,品種により逆に増加した。


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