農業研究本部

だいず新品種「トカチクロ」の育成について

佐々木 紘一、砂田 喜与志、斉藤 正隆、酒井 真次、土屋 武彦、紙谷 元一、伊藤 武、三分一 敬

北海道立農試集報.51,113-124 (1984)

 だいず「トカチクロ」は,北海道の基幹黒だいず品種「中生光黒」より早熟で多収な黒だいず品種の育成を目的として,北海道立十勝農業試験場において「十育122号」(後の「キタムスメ」)×「中生光黒」の人工交配を行い,以後選抜,固定を図ってきたものである。1977年以降「十育184号」の系統名で各種試験を重ねてきたが,1984年5月に農林水産省の新品種と認定され,「だいず農林80号」として登録され,かつ「トカチクロ」と命名され,北海道の奨励品種に決定した。本品種は,光沢のある大粒の黒だいず品種であり,成熟期が「中生光黒」より3~9日早く中生種に属し,同品種より多収で特に低温年における減収程度が小さく,煮豆原料としての加工適性は「中生光黒」と同等と認められる優点がある。一方,年次や栽培地により,子実に裂皮(点形)のみられる品質上の難点がある。そのため,十勝地方の中で栽培適地を限定して普及することにした。


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