農業研究本部

経年酸性化草地における施肥窒素の利用率と土壌窒素供給力

三木 直倫、高尾 欽弥

北海道立農試集報.51,43-54 (1984)

 草地の土壌酸性化に伴う集積有機物の特性と施肥窒素の利用率および土壌窒素供給力について検討した。酸性化した経年草地は粗大有機物の集積量が多く,しかもC/N比の高い未分解な有機物画分の割合が高く,表層土壌での窒素無機化量は著しく低下する特徴を有していた。このような特性をもつ酸性化した経年草地では施肥窒素の利用率および土壌窒素供給力が低下し,明らかに収量低下が認められた。すなわち,土壌pHを高く維持した経年草地の施肥窒素利用率は1,2,3番草の順に56,51,42%であったが,酸性化草地のそれは54,43,27%と特に2,3番草の利用率低下が著しかった。更に,酸性化草地では施肥後に有機態窒素の増加が著しかった。したがって,酸性化した経年草地では施肥窒素の有機化が多く,かつ還元される有機物分解の停滞によって土壌窒素供給率が劣るものと考えられた。


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