農業研究本部

個体密度の異なる才ーチャードグラス草地の収量推移と窒素反応性

東田 修司、高尾 欽弥、坂本 宣崇

北海道立農試集報.52,1-11 (1985)

 播種量を0.2,0.5,2.0kg/10aとして造成したオーチャ-ドグラス草地の個体数は3年目にそれぞれ約30,50,70/m2となり,それ以降安定であった。0.2kg区の収穫時の全茎数は造成2年目に2.0kg区の50%前後であったが,経年的にその差は次第に縮まり,5年目に75~85%に達したのち安定化した。年間窒素12kg/10a施用条件での1番草収量は造成2年目において,密度の低い区の茎数が極端に不足していたことから,2.0>0.5>0.2kg区であり,3~4年目では密度の低い区の方がより多くの有穂茎を得たことから2.0<0.5<0.2kg区となり,5年目以降は処理区による収量差が認められなくなった。2,3番草収量は,茎数不足が反映して,0.2kg区の方が一貫して低い傾向であった。窒素施用量を年間18kg/10a以上にすると,密度の低い区での分げつが促進され,かつ1茎当り重量が増大するので,個体密度の差による収量差は小さくなった。逆に年間窒素6kg/10a施用条件では密度が低い場合の低収性が顕著になった。


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