農業研究本部

バーク堆肥の腐熟過程における化学成分変化と腐熟度指標

今野 一男、平井 義孝、東田 修司

北海道立農試集報.52,31-40 (1985)

 バーク堆肥のpH,EC,水溶性フェノールは,堆積当初,発熱発酵に伴って急激に高まったが,腐熟が進むとしだいに低下し,ほぼ一定水準となった。C/N比は堆積過程での炭水化物の分解程度に比例して低下した。炭水化物の分解は樹種や窒素源としての副原料によって著しく相違し,広葉樹>針葉樹,家畜糞尿>化学肥料の順に大きかった。無機態窒素は堆積直後大部分が有機態窒素に変化した。有機態窒素の組成では,酸可溶非留出性画分の低下と酸不溶性画分の増加が認められた。作物の発芽,初期生育に対する障害はpH,EC,水溶性フェノールと,窒素吸収抑制はC/N比,還元糖態炭素/全窒素比,還元糖割合と密接な関係を示した。これらの結果から,バーク堆肥の腐熟度指標を次のように設定した。pH:6.5~7.5, EC:3mmho/cm以下, 水溶性フェノール:2mM以下, C/N比: 25以下(広葉樹), 35以下(針葉樹), 還元糖態炭素/全窒素比:6以下(広葉樹), 10以下(針葉樹),還元糖割合:20%以下(広葉樹), 30%以下(針葉樹)


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