農業研究本部

馬鈴しょでん粉工場排液の農地施用による動態
I.排液散布による環境影響

谷口 健雄、黒川 春一

北海道立農試集報.52,41-52 (1985)

 ばれいしょでん粉工場排液は,窒素,カリを多く含み,カリは窒素の1.5倍以上に達した。含有有機物はC/N比が低く,その分解は極めて早い。工場別,排液の種類,排出時期などにより成分は異なり,速効的性格を持つものである。この排液を,窒素を基準にして農地へ散布した結果,カリが集積し,表層部では土壌の種類にかかわらず2me/100g以上になり,速効的性格を持つものである。この排液を窒素を基準にして農地へ散布した結果,カリが集積し,表層部では土壌の種類にかかわらず2me/100g以上になりMg/K比は1以下に低下した。また,カリの土層内の分布は,土壌孔隙,塩基置換容量等土壌特性に対応し,特徴的なパターンを示した。多量散布地の牧草は, カリを過剰に吸収し,塩基バランスが乱れた。礫質土壌の場合,土壌水分が飽和に近い条件下で排液を散布すると,暗渠からの流出水量,および,COD,窒素の流出量が増加した。排液散布量が累積するとこれら成分の流出濃度が上昇し,施用成分に対する流出比率も高まり,化学肥料施用圃場にくらべて発生負荷が多かった。


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