農業研究本部

火山灰草地における施肥管理が草地の経年変化に及ぼす影響

大村 邦男、木曽 誠二、赤城 仰哉

北海道立農試集報.52,65-75 (1985)

 火山灰草地で15年間にわたり三要素試験を行った結果,三要素区では試験開始当初は安定した高い生産性を示したが,年次の経過に伴いマメ科牧草の減少がみられ,5年目以降減収傾向が認められた。この原因は,土壌養分環境の悪化によるもので,石灰,苦土の追肥を行った改善試験では草勢の回復が認められた。無窒素区ては土壌養分含量の低下が少なく,三要素区並みの収量を示し,牧草の成分含有率及び植生の推移も安定していた。一方,無りん酸区.無カリ区では土壌養分の欠乏が著しく,牧草体成分含有率の低下と植生の悪化に伴う減収が認められた。持に,カリ欠除によるマメ科牧草の衰退は著しく,生産性の低い草種への変遷が明らかであった。以上のことから,根釧火山灰草地で,長期間安定生産を保つためには,マメ科牧草の維持を図ることが重要であり,そのためには,りん酸,カリに加えて石灰,苦土を一定水準に保つ施肥管理を行う必要がある。


全文(PDF)