農業研究本部

ホウレンソウの土壌病害とその発生に関する土壌肥料学的考察
2.札幌市近郊畑における立枯病について

赤司 和隆、前田 要、阿部 秀夫

北海道立農試集報.54,1-8 (1986)

 札幌市近郊のホウレンソウ畑40圃場で発生の認められた根腐れ症状株から分離された糸状菌のうち,立枯れ症状株から特異的に多く分離された Pythium 属菌の同定を試みた。立枯病の原因となる Pythium 属菌としてPythium sp., P. ultimum TROW, P. aphanidermatum (EDOSON) FlTZPATRlCK, P. spinosum SAWADA の4種が確認された。なかでもPythium sp., P. ultimum の分離される圃場数は多く,この2種の菌が札幌市における立枯病の主原因であることが判明した。さらに,分離率が極めて低いRhizoctonia 属菌の中にも立枯病の原因となり得るRhizoctonia solani Kuhn AG-4, AG-5の2種類が確認された。立枯病は,子葉期,すなわち株数の多い間引時に発生するため,主に生育中期以降に発生するFusariumによる萎ちょう病,Aphanomyces による根腐病に比べ株数減少による収量低下は軽微であると思われた。


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