農業研究本部

草地表層の土壌微生物相に及ぼす施肥処理の影響

東田 修司、西宗 昭、高尾 欽弥

北海道立農試集報.54,9-19 (1986)

 草地土壌微生物は物質循環の中で不可欠な分解者の役割を担っている。そこで,N,P,K,Ca,Mgの5要素欠除処理草地の土壌表層における土壌微生物数・活性について調査,検討した。細菌数は土壊pHの低下した窒素施用系列で低く,土壊pHの低下していない窒素無施用系列で高かった。さらに,窒素無施用系列ではマメ科草が混生しており,これも細菌数を高めている要因であった。また,測定した分解活性のほとんどが細菌数と有意な相関を示し,低pH土壌で低下していた。窒素無施用系列の細菌数は春と秋にピークを持つ典型的な季節変化を示したが,窒素施用系列では低pHが規制要因となって顕著な季節変化を示さなかった。このため低pH土壌では有機物分解が阻害され,有機物の蓄積が起こっていた。このことは,草地の物質循環を阻害し,草地生産性に悪影響を与えるものと考えられた。


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