農業研究本部

天北地方重粘土草地の生産カと気象,土壌水分特性の関係

三木 直倫、高尾 欽弥、西宗 昭

北海道立農試集報.54,21-30 (1986)

 天北地方重粘土草地の生産力と,主として降水量およぴ土壌水分特性の関係を検討し,当地方草地の生産力変動要因の摘出を試みた。牧草収量は生育期間の積算降水量に大きく支配され,1, 2番草収量はその生育期間の降水量が150~200mmまでは降水量の増加に伴って増加した。一方,降水不足年の牧草収量の低下程度は土壌の保水性にも支配され,有効水分の少ない褐色低地土,疑似グライ土で大きく,有効水分の多い酸性褐色森林土で小さかった。また牧草生育全期間(4月下旬~9月中旬)の降水量がおおむね400mmより少ない年には疑似グライ土の草地は酸性褐色森林土の草地より明らかに低収となった。さらに降水不足年の牧草収量の低下程度は草地の経年数で異なり5年未満く5~10年目く10年以上の順で大きく,10年以上の経年草地は土壌有効水容量が多い土壌でも降水不足年の収量低下が大きかった。この理由として,草地の経年化により漸次養分供給土層が表層に偏り,この土層が降水不足時に過乾状態となり養分供給が低下するためと考えられた。


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