農業研究本部

北海道におけるインゲンのインゲン黄斑モザイクウィルスの発生

萩田孝志

北海道立農試集報.54,31-38 (1986)

 北海道のインゲンのインゲン黄斑モザイグウィルス(BYMV)の発生実態調査を1981年から4カ年行った結果,全道平均の発病株率は,壊疸系統がl~2%,普通系統が僅少であった。ウィルス病の発生は有翅アプラムシの多発年に多く,特に胆振支庁管内の「改良早生大福」で著しかった。ほ場内での発生状況は,周辺雑草に近い畦ほど多く,中心部では少なかった。BYMVのエライザ検定は,接種検定に比べ100倍以上検出感度が高く,純化試料で5ng/mlまで検出できた。ほ場周辺のグローバ類からBYMVを検出した結果,壊疸系統の場合,シロクローバからの検出率が36~43%,アカクローバからは僅か1例(2%)のみ検出された。普通系統はアカクローバから2~23%検出されたが,シロクローバからは全く検出されなかった。従って壊疸系統が胆振管内で多発する原因は,一般ほでの発病率が他品種より高い「改良早生大福」の作付が多く,かつウィルス伝染源が多いためであり,一方普通系統が全道的に少ない原因は,主たる伝染源であるアカクローバの量およびそのウィルス保毒率が低いためと推定した。


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