農業研究本部

天北地方のマメ科混播草地におけるN移譲

東田 修司、宝示戸 雅之、西宗 昭

北海道立農試集報.56,19-30 (1987)

 天北地方のマメ科草,アルファルファおよびラジノクローバからイネ科草へのN移譲量は最大それぞれ6.1,10.2kg/10aであることが認められ,N施用により減少した。オーチャードグラス・アルファルファ混播草地ではアルファルファ収量の増加に従って,オーチャードグラスのN含有率は直線的に増加したが,N移護量はアルファルファ収量が,400kg/10aのとき最大値を示すのが特徴であった。また,チモシー・アルファルファ混播草地もこれと同様のパターンを示した。これに対して,オーチャードグラス,ラジノクローバ混播草地では,ラジノクローバ収量の増加によって必ずしもオーチャードグラスのN含有率は高まらず,N移譲量は前年度のラジノクローバ収量に左右されていた。オーチャードグラスに対するN移譲はアルファルファ混播草地では主に根から分泌されるN化合物によって,ラジノクローバ混播草地では前年度に土壌に還元されたラジノクローバ残査を介して行なわれると推察された。チモシー混播草地では9月上句の最終刈り取り後に行なわれるマメ科草のN固定もN移譲に寄与していた。また,マメ科の混生により土壌中にNが富化されるとともに,土壌微生物が活性化されていた。


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