農業研究本部

トラックによる長距離輸送が乳牛の泌乳や血液性状に与える影響

上村 俊一、森 清一、扇 勉、八田 忠雄、高橋 雅信、塚本 達、尾上 貞雄、平井 綱雄、工藤 卓二

北海道立農試集報.56,65-73 (1987)

 種々の泌乳ステージの乳牛60頭をトラックで300km輸送し、乳牛に与える影響を検討した。  その結果、体重減少は育成牛で少なく、乾乳牛は一過性の減少後7日目までに輸送前に回復したが.泌乳牛では92~95%の回復にとどまった。  泌乳量は、輸送後減少し10日目で最低となったが、乳成分ではいずれも輸送後一過性に乳脂肪は上昇し、SNFは低下した。  血液像では、輸送後白血球が一過性に上昇し、好酸球は減少したがいずれも4日目には回復した。血清成分では.血中Ca、K、γ-GTP、Piは一過性に減少し、遊離脂肪酸、sGOT、血糖、総蛋白質、アルプミン、グロプリン、尿素窒素は増加し、育成牛でsGOT、遊離脂肪酸、尿素窒素の変動が成牛より大きかった。  輸送前後のACTH負荷試験では、負荷後30分の血中コルチゾールの上昇が輸送直後抑制され、成牛では7日目に回復したが、育成牛では7日目も低下したままであり、成牛に比べ輸送ストレスからの副腎皮質機能の回復が遅れた。


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