農業研究本部

コムギ条斑病菌による種子及び土壌の汚染

尾崎 政春、近藤 則夫、赤井 純

北海道立農試集報.56,75-82 (1987)

 コムギ条斑病の防除対策確立に資するため、種子伝染による発病、汚染種子による土壌の汚染、発生ほ場産種子の汚染状況と汚染経路について検討した。  発生ほ場産種子の使用は、土壌の汚染と種子伝染による発病を招くため、病原菌の分散と定着をもたらす最大の要因である。発生ほ場産種子の表面は病原菌で汚染されており、最高24%の種子から病原菌が検出され、種子から検出される病原菌数は、多発生ほ場産の場合に多かった。  発生ほ場産種子を部位別に分離した結果、病原菌は種子の内部(胚)からも検出され、最高20%であった。この内部汚染は、発病コムギの通導組織を通じた導管通過型感染によると考えられた。  ほ場で生育中の健全株と病株の茎葉が接触し合っても、健全株は発病せず種子も汚染しない。また、風による汚染の拡大も認められない。しかし、健全株と病株が同時に収穫されると、脱穀作業中に種子表面付着菌による汚染とともに、罹病茎葉組織内の病原菌によって、健全種子が汚染された。


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