農業研究本部

スムーズブロムグラス新品種“アイカップ”の育成について

古谷 政道、下小路 英男、川村 公一、中住 晴彦、植田 精一、増谷 哲雄、樋口 誠一郎、筒井 佐喜雄、真木 芳助、田辺 安一、嶋田 徹、中山 貞夫、青田 盾彦

北海道立農試集報.57,35-48 (1988)

 スムーズブロムグラス(Bromus inermis Leyss.)は、地下茎を持ち、深根性で、極めて耐乾性の強い永年生のイネ科牧草である。北海道立北見農業試験場では、乾燥地に 適するイネ科牧草として、1964年以降新品種育成試験を実施してきたが、1987年に新品種「アイカップ」(スムーズブロムグラス農林合1号)を育成した。  「北見1号」の旧系統名を持つ本品種は、スムーズブロムグラスとしてはわが国で最初の育成品種で、米国から導入した5品種・系統に由来する13栄養系を用いた合成品種である。  採草用の中生種で、出穂期の草型はややほふく型で、出穂茎数が多い。各種病害に対する抵抗性は中程度であり、越冬性及び耐寒性は良好で、土壌凍結地帯における栽培に問題は少ない。  年間合計乾物収量は市販品種「サラトガ」並かやや勝り、アルファルファとの混播における生育は良好である。  栽培適地は北海道全域であるが、当面乾燥地に限定する。また施肥量はオーチャードグラス主体草地の北海道施肥標準を準用する。


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