農業研究本部

乳用雌牛の生産性に関する西部十勝地方のフィールドデータによる遺伝的特性の把握

西村 和行

北海道立農試集報.57,67-77 (1988)

 乳用雌牛の産乳能力評価について、飼料の利用効率を考慮したフィールドデータの解をを行った。  十勝西部で北海道乳牛検定協会に加入する農家のうち、1982年4月から1983年3月までに240日以上で一乳期を完了した種雄牛209頭、延べ3、922頭の泌乳記録を使用し、HendersonのMethodⅢにより各分散・共分散成分の推定を行った。  用いた数学モデルは主効果として種雄牛、分娩月、産次の三元配置モデルによる最小二乗分散分析法によった。その結果、平均平方値によると産乳量は産次の影響、乳生産効率は季節の影響が大きかった。  産乳量の遺伝率は、成牛換算乳量で0.16、成牛換算FCMで0.13、成牛換算乳脂肪量で0.16そしてSNF率で0.19であり、また生産効率の遺伝率は0.l7~0.18であった。  しかし、生産量と生産効率の遺伝相関係数は0.4~0、7の範囲にあり、季節の影響を考慮するならば、簡易指数を選抜指標の一つとして用い得る可能性が示唆された。


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