牧草の耐酸性
宝示戸 雅之、西宗 昭、高尾 欽弥
北海道立農試集報.57,79-92 (1988)
牧草の耐酸性の重要な指標であるアルミニウム(Al)耐性の草種間差をポット試験によって解析し、圃場試験の結果もあわせて耐酸性の発現に関与する要因を検討した。 相対生育量で表わされる牧草のAl耐性と、相対根重および相対りん酸含有率の三者間には正の相関関係が認められた。これらの要因に対し牧草のAl地上部移行性は負の相関関係にあった。 このことからAlの溶出している酸性土壌に生育するときの生育抑制は、根部発達の抑制およびりん酸吸収の抑制に並行して起る現象と考えられた。 そして、土壌溶液中Alの地上部移行性が耐酸性の重要な指標であった。牧草の耐酸性はオーチャードグラス>ケンタッキーブルーグラス、チモシー>レッドトップ≧≧ペレニアルライグラス、赤クローバ>アルファルファ>ラジノクローバの順であった。 経年的に酸性化が進行する圃場条件における各牧草の耐酸性はおおむねポット試験の結果に対応したが、アルファルファは予想より耐酸性が大きかった。 このことは牧草の根張り特性によって説明できることから、圃場条件における耐酸性評価には根張り特性も重要な要因であることがわかった。
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