農業研究本部

水稲新品種「上育394号」の育成について

佐々木 一男、相川 宗巌、柳川 忠男、新橋 登、佐々木 多喜雄、沼尾 吉則

北海道立農試集報.58,13-23 (1988)

 「上育394号」は、1980年に北海道立上川農業試験場で交配した「渡育214号/道北36号」の雑種第1代(F1)の葯培養によって育成され、「マツマエ」に替る良食味品種として、1986年2月北海道の奨励品種に採用された。  特性の概要は次のとおりである。出穂期、成熟期は「晩生の中」でやや短稈の偏穂数型で、ふ先色は黄白、無芒である。障害型耐冷性はやや強、いもち病耐病性はやや強で真性抵抗性遺伝子Pi-i、kをもつと推定される。  耐倒伏性はやや強、収量性は「巴まさり」を上回り、「マツマエ」並である。玄米品質は「マツマエ」より劣り「己まさり」並であるが、食味は「マツマエ」「巴まさり」を上回る。  以上の特性からみて、本品種は道南南部およびこれに準ずる地帯の「マツマエ」に替る良食味品種として推奨できる。


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