農業研究本部

テンサイの糖分向上と施肥窒素および堆肥の相互関係

奥村 正敏、松崎 康範、野村 信史、相馬 暁

北海道立農試集報.59,21-29 (1989)

 テンサイの糖分向上を目的とした窒素施肥法確立のため、十勝地方に広く分布する、黒ポグ土、多湿黒ボグ土、褐色低地土について堆肥と窒素施肥の用量を組合せた試験を行った。  三土壌型における、テンサイの根重と糖分に及ぼす窒素ならひに堆肥の施用効果は、土壌窒素肥沃度の高低によって異なり、肥沃度の高い土壌ほど根重に対する施用効果は小さく、糖分に対してはむしろマイナスに作用した。  一方、糖分と糖量に最適な作物体の窒素吸収量は、各土壌型ともl5~20kgN/10aの範囲にあり、各試験地に設けた無窒素区の窒素吸収量を土壌の窒素供給量と仮定した場合、施肥としての窒素補給量は、10a当り、黒ポク土15~20kg、多湿黒ポグ土l0~15kg、褐色低地土5~l0kgであった。  また、施肥窒素と堆肥窒素の根重に対する生産効率から、窒素肥沃度の高い土壌では、施用する堆肥1tを窒素施肥1kgと換算し、堆肥施用時には、それに含まれる肥料成分を考慮して窒素施肥量を決定することが必要である。


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