農業研究本部

異なった土壌環境におけるダイズ根粒菌の接種効果

東田 修司、奥村 正敏、沢口 正利

北海道立農試集報.59,31-40 (1989)

 十勝地方の土壌条件の異なる圃場llカ所でダイズ根粒菌の接種試験を行い、その根粒形成におよぼす環境要因の影響を検討した。  供試した圃場の土着根粒菌数は乾土lg当りl02~l05の範囲であり、士壌が過湿の場合に少ない傾向であった。  また、士着根粒菌の競合力は本試験で供試した接種根粒菌Al0l7よりも高い傾向であった。接種菌による根粒着生割合は試験地によって大きくばらついた。これには、土着根粒菌の密度よりも、むしろ土壌環境条件が大きく影響していた。  すなわち、土壌水分条件か過湿、あるいは過乾の圃場では接種菌由来の根粒形成割合が低い傾向にあり、これらの圃場では、接種菌の土壌中での減少割合が大きかったものと推定された。  また、土着根粒菌の競合力か特に大きな圃場では、土壌水分か中庸でも、接種菌由来の根粒形成割合が低い傾向であった。  これらの結果から、接種菌の土壌中での生存能力、競合力を高めることによってより、接種効果を向上させ得ると考えた。


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