農業研究本部

稲わら連用水田における土壌窒素肥沃度の評価

志賀 弘行、宮森 康雄、木村 清

北海道立農試集報.60,125-131 (1990)

 北海道中央地域のグライ土壌水田において、稲わらを10年間連用し、水稲窒素吸収量 の年次推移を数式化した。さらに、稲わら連用年数の限界と対策について、数式にもと づいた予測を行った。  稲わらの連用により水稲の窒素吸収量は経年的に増加し、対照区に対する窒素吸収の 増加量は、有機物の分解を分解率を異にする3画分の和で近似する数式モデルと良く一致 した。その際、稲わらから放出される窒素の7割が水稲に利用されると推定した。  総モミ数の上限を38,000粒/m2として、先の稲わら由来窒素吸収量の予測式と、吸収 窒素あたりの総モミ数の増加率から、稲わら連用年数の限界を推定した。その結果、生 育後半にも地力窒素の供給が続く圃場では、稲わら500kg/10aの連用は約7年が限界と考 えられた。  稲わらの連用が限界に達した場合、稲わらの施用を1年おきとするか、連用稲わらの 残効を計算にいれて、堆肥施用に切り替えることが適当と予測された。


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