農業研究本部

Erwinia carotovora subsp.carotovoraの接種条件がストレプトマイシン剤の組織腐敗阻止効果におよばす影響

田中 民夫、青田 盾彦

北海道立農試集報.60,143-150 (1990)

 本剤の浸漬処理を行ったダイコン根部切片に軟腐病細菌を接種し、20℃に静置すると 切片の腐敗は阻止されたが、温度が高くなるに従い、阻止効果が低下し、腐敗は増加し た。同様の腐敗阻止効果の低下は薬剤処理した切片を高温(30℃)に長く置いた場合に も認められた。  一方、25℃に静置したとき同一切片に最大5回まで接種をくり返しても腐敗程度は増加 しなかったが、接種後に薬剤処理を行うと腐敗は増加した。  また、ダイコン根部で培養した細菌けん濁液を培養後7時間目以降に回収し、接種源と したところ、腐敗の増加が認められた。さらに、培養24時間目に細菌けん濁液から病原 細菌のみを回収し、接種源としたときにも腐敗の増加が見られた。  以上のように、高温条件、接種後の薬剤処理に加えて、ダイコン根部で培養した病原 細菌けん濁液および回収細菌を接種源とすることによりストレプトマイシン剤の組織腐 敗阻止効果が低下することが明らかになった。


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