農業研究本部

ダイズ新品種「トヨコマチ」の育成について

佐々木 紘一、砂田 喜興志、紙谷 元一、伊藤 武、酒井 真次、土屋 武彦、白井 和栄 、湯本 節三、三分一 敬

北海道立農試集報.60,45-58 (1990)

 ダイズ新品種「トヨコマチ」は、北海適の基幹品種であり白目大粒でダイズシストセ ンチュウ抵抗性強の「トヨスズ」より早熟な品種の育成を目標として、北海道立十勝農 業試験場において「樺太1号」×「トヨスズ」の人工交配を行い、以後選抜固定を図って きたものである。  1983年以降「十育205号」の系統名で各種の試験を重ねてきた結果、1988年に北海道の 優良品種に、また同年、農林水産省でも新品種として認定され、「トヨコマチ」(「だ いず農林90号」)と命名、登録された。  本品種は、成熟期が「キタコマチ」と同じ中生の早に属し、低温(障害型)抵抗性が やや強でありダイズシストセンチュウに対しても「トヨスズ」や「トヨムスメ」と同様 に抵抗性強で収量の安定性が高い。  子実は、白目、粒大が中の大に属し、低温障害による臍周辺の着色粒の発生か少なく 良質である。今後、上川、十勝、網走地方で「トヨスズ」および「キタコマチ」に代え て普及することが期待される。


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