農業研究本部

分娩後の乳牛における血漿中プロジェステロン濃度と超音波診断装置で判定した繁殖機能の回復経過

上村 俊一、扇 勉、高橋 雅信、塚本 達

北海道立農試集報.61,13-20 (1990)

 乳牛における分娩後の繁殖機能の回復経過を、血漿中プロジェステロン濃度と超音波断層像により観察した。  まず、乳牛4頭を供試し超音波断層像による生体内での子宮各部位と、屠殺後摘出した子宮頸管および左右子宮角の中央部を計測した。  生体内子宮の超音波断層像は、子宮内膜面と血管層が楕円形の輪郭線として観察され、直径および輪郭線に沿った面積は摘出した子宮の計測値と一致した。  次に、乳牛18頭について卵巣機能と子宮の修復状況を観察した。分娩後7日目には、左右卵巣に直径10mm以上の卵胞が存在し、初回排卵は平均l9.4日、初回排卵後のプロジェステロン濃度の最高値は7.lng/mlであった。  子宮は、分娩後44.1日に妊娠角と非妊娠角の断面積がほぽ等しくなり修復が観察された。初回排卵までの日数が長いと子宮修復が遅れる傾向にあった。  乳牛の分娩後の繁殖機能の回復経過を、血漿中プロジェステロン濃度と超音波断層像の組み合わせで的確に判定できた。


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