農業研究本部

畑作酪農地帯における栄養塩類(N、P)の循環
酪農地帯における肥料成分の流出と水質保全(第5報)

大村 邦男、黒川 春一

北海道立農試集報.63,11-21 (1991)

 道央の畑作酪農地帯における窒素、リンの循環について、環境保全的な見地から検討を行った。  調査地域202.2haから流出する窒素量は年間3,794kgで、その内訳は耕地83%、畜産関連施設11%.林地等5%、生活排水1%であった。  一方、河川に流入する負荷量は降水による自然負荷量よりも小さく、作物、土壌を介した農地における浄化機能の大きいことを示唆した。  リンの流出量は年間285kgで、その内訳は、耕地91%、畜産関連施設4%、生活排水3%、林地等2%であった。一方、河川に流入するリンの負荷量は窒素に比べると少なく、流出量の多くは表面流出によるものと考えられた。  したがって、リンの水系への流達を極力抑えるためには、表面流出水に伴う上壌粒子の移動を抑制するための緩衝帯等の設置が有効と思われた。  以上、畑作酪農地帯で発生する肥料成分の流出を抑えるためには、農業系内における肥料成分の循環に務め、系外からの流入をできるだけ減らすことが基本と考えられた。


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