農業研究本部

十勝地方の豆類および野菜類におけるジカルボキシイミド系薬剤耐性灰色かび病菌の発生

堀田 治邦、谷井 昭夫

北海道立農試集報.63,53-60 (1991)

 ジカルボキシイミド系薬剤であるプロシミドン、ビンクロゾリンおよびイプロジオン剤は、道内における豆類および野菜類の灰色かび病防除薬剤として広く用いられている。  1987年、十勝地方の豆類圃場で灰色かび病に対するこれら薬剤の防除効果の低下例が認められた。そこで同地方の豆類および野菜の罹病株から灰色かび病菌を分離し、同系薬剤に対する感受性を調査した。  インゲンマメから分離した314菌株のうちプロシミドン剤耐性は94.8%、ビンクロゾリン剤耐性は67.2%であった。  アズキから分離した137菌株ではプロシミドンおよぴビンクロゾリン剤とも81.8%が耐性であった。  これらの耐性菌は十勝地方の全市町村に分布していた。なお.耐性菌は野菜類から分離した菌株でも認められた。  十勝農試内のインゲンマメ圃場でビンクロゾリン水和剤を3回散布した区では薬剤の効果の低下が見られ、分離した灰色かぴ病菌の耐性菌率は87%であり.無処理区の同27%に比べ著しく高かった。  耐性菌はプロシミドン、ビンクロゾリンおよびイプロジオン剤問で交差耐性が認められた。


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