農業研究本部

チモシー新品種「アッケシ」の育成について

古谷 政道、筒井 佐喜雄、植田 精一、増谷 哲雄、樋口 誠一郎、下小路 英男、川村 公一、中住 晴彦、藤井 弘毅、中山 貞夫

北海道立農試集報.64,91-105 (1992)

 チモシー「アッケシ」は1969年から1991年にかけ北海道立北見農業試験場で育成された。親系統はいずれも斑点(Cladosporium phlei(Gregory)de Vries)の人工接種による幼苗検定と、白然感染による圃場抵抗性の検定により選抜された。  1988年から1991年に「北見16号」の系統名で各種の検定試験に供試し、それらの成績から1992年3月チモシー北海道合7号として北海道の優良品種に登録された。更に1992年7月チモシー農林合5号[アッケシ」として農林水産省に新品種登録された。  現在種苗法に基づく品種登録を申請中である。本品種は北見農業試験場育成3品種・系統及ぴ「ホクレン改良種」多交配後代に由来する7栄養系の組合せによる合成品種法により育成された。  本品種の最も重要な特性は、従来の品種にはなかった熟期が中生の早であり、出穂始が早生品種「ノサップ」より北海道で5日遅い。本品種は斑点病に対しかなり強い抵抗性を示す。収量は中生品種「ホクセン」に比較し北海道でやや多収である。再生が良好で、競合力が優れている。  本品種は越冬性に問題はない。本品種の適応地域は北海道で、他の異なる熟期の品種と適宜組合せて栽培することにより刈取り適期幅の拡大が可能である。特に斑点病多発地帯での利用が期待される。


全文(PDF)