農業研究本部

北海道におけるイネもみ枯細菌病菌による苗腐敗症の発生

竹内 徹

北海道立農試集報.65,1-9 (1993)

 1991年5月,北海道の早来町,蘭越町および三石町で育苗中のイネに,葉輪が地際部から褐色に腐敗し,育苗箱内で坪枯れ症状を起こす病害が発生した。発病苗からは水溶性黄緑色色素を産生する細菌が分離された。分離細菌を種籾に浸漬接種し育苗箱に播種すると,イネ苗の生育は著しく阻害され,苗は腐敗枯死した。また,出穂期のイネ穂に分離細菌を噴霧接種すると,もみ枯症状を起こした。分離細菌の細菌学的性状は,イネもみ枯細菌病の病原細菌Pseudomonas glumae Kurita et Tabeiと一致した。以上のことから,イネもみ枯細菌病菌による苗腐敗症の北海道における発生が初めて明らかとなった。


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