農業研究本部

春播コムギ導入によるテンサイの短期輪作の可能性

今野 一男、菊地 晃二、宮脇 忠

北海道立農試集報.65,21-28 (1993)

 テンサイの短期輪作の可能性を明らかにするため、各種の輪作様式がテンサイの根の褐変程度および生育・収量に及ぼす影響について検討した。  連作または短期輪作条件でのテンサイの生育・収量の低下要因は、生育初期における根の褐変の進行と、それに起因したリン酸の吸収能低下によるもので、これについてはAphanomycesなどの土壌病原菌の関与が推察された。  テンサイの根の褐変程度は、輪作年限だけではなく導入作物の種類によっても相違した。春播コムギを導入した場合、根の褐変程度は低下し、2年輪作でも生育・収量の低下はほとんど認められなかった。  一方、バレイショ導入の場合には褐変程度の低下が判然とせず、3年輪作でも収量は春播コムギの2年輪作より劣った。  以上の結果から、春播コムギを導入したテンサイの短期輪作の可能性が示唆された。


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