農業研究本部

ヒメトビウンカ成虫の寿命と産卵数

八谷和彦(北海道病害虫防除所)

北海道立農試集報.66,1-6 (1994)

 ヒメトビウンカ個体群の発生動態を定量的にとらえるため、発生動態の基本要因一つである成虫寿命と産卵数について室内実験と圃場試験を行った。その結果、
1. 室内飼育により、越冬世代の寿命は他の世代より長いこと、寿命の変動係数は23.9~68.0%と大きいこと、平均寿命の発育零点は10.2℃であることなどが示された。

2. 室内飼育と水田条件の雌成虫の寿命の比較により、室内飼育から水田における生理的寿命の推定が可能であると考えられた。 

3.越冬世代成虫の飼育により、日産卵数は産卵開始後平均寿命ころまでほぼ一定しその後徐々に低下すること、総産卵数は平均491.0個(21℃)で寿命との相関が高いこと(r=0.943)などが判った。 

4.圃場試験から、日産卵数は世代によって異なり、温度の影響を強く受けることが示され水田における各世代の産卵数は気温のみからでも推定可能であると考えられた。


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