農業研究本部

チホクコムギの成熟期前後における穂水分の変化とα-アミラーゼ活性の推移

中津 智史、市川 信雄、大村 邦男

北海道立農試集報.66,7-14 (1994)

 アミラーゼ活性の推移は年次・地域によって大きく変動していたが、およそ次の3つのパターンに分類された。 パターン1:α-アミラーゼ活性値は成熟期以前に高いが、穂水分の減少とともに低下し、その後も低い値を維持する。 パターン2:成熟期以降、一定期間を経過した後に降雨に遭うと、穂水分の上昇とともに大きく活性化する。 パターン3:成熟期前後に穂水分が低下しても、全般に高い活性値を維持する。  これらのパターンの中で、成熟期以前から存在する活性は、グリーンα-アミラーゼ、成熟期以降の穂発芽を伴う活性は発芽α-アミラーゼに由来すると推測された。成熟期後のα-アミラーゼの活性化には、降雨が大きく関与しており、気温、日照、湿度等の影響も考えられた。また、成熟期直後は休眠が深いために活性化しにくかったが、時間の経過とともに活性化し易くなった。  グリーンα-アミラーゼは発芽α-アミラーゼと同様に、活性が高いとでん粉粘度を低下させていた。


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